大学受験 は、中学で 英語 をスタートした人と帰国子女とが同じ土俵で戦います。
一見、不公平に見えますが、中学スタート組は会話や作文が苦手、帰国子女組は文法や読解などの基礎力不足と、それぞれ弱点を抱えています。この弱点を補う学習法が確立され、少しずつ広まっています。
大学受験の英語は、学習法を知ることでもっと伸びる
- 目次 -
日本の英語教育は、input型、output型にわかれています
input型は、英語「を」学ぶ、日本の標準的英語教育です。
英単語や英文法を覚え、ルールに従って言い換えをする演習や、長文を読んで問いに答える英語学習です。
input型の利点は、知識(単語・文法)に基づいて英文を読む力が確実に身につくことです。学校の定期試験や大学受験の英語は、単語・文法・英文和訳の3要素で作られていますから、input型の英語学習を徹底することができれば、受験英語は克服できます。
output型は、英語「で」表現する、新しい学習方法です。英語で聴く、話す、書くことを重視し、All English で授業を行うこともあります。output型の利点は、英会話・英作文・リスニング・時事英語などに対応できることです。
また、受験生から英語に対する苦手意識を取り去り、高いモチベーションを維持するので、学習内容の定着率が高く、意欲によって、どこまででも英語力を高めることができます。
input型に向くのは覚えることが得意な人です
覚えることが得意な人、短期間で成績を伸ばしたい人は、input型です。英単語を例にとると、センターレベルで四千語、私大・国公立二次で六千語、難関大学で八千語と言われます。
自分の目的に合わせて英単語の量を増やし、全文和訳を繰り返して単語、文法、構文をinputすることで、英文和訳が完全に近づき、正解率が高まります。
output型に向いているのは文章の読み書きが好きな人です
単純な暗記が苦手な人、文章の読み書きが好きな人、英語は好きなのに成績が伸びない人は、output型を取り入れることで、劇的に伸びる可能性があります。
また、難関大学で増えてきた、英語による自由作文や、長文読解で生の英文(新聞記事、専門誌の論文など)が出題される大学を受験する方は、output型の学習が必要です。ちなみに「ビリギャル」は、output型学習で英語を伸ばしています。
output型は、英語の文化、感覚、価値観から表現します
日本人同士の会話は、空気を読み、相手に共感、同調することが中心です。
「Aさんって良い人だよね」に対して「そうだよね」で会話は終わります。
一方、欧米文化のコミュニケーションは「情報の共有」が中心です。
「Aさんって良い人だよね」に対して、「あなたはなぜそう思うの?」「いつ、そう思ったの?」「どんなふうに良い人なの?」「それはなぜ?」と問い返されます。ここから会話が始まり、情報の共有まで続くのが欧米文化のコミュニケーションです。
つまり、物事や人物に対して「どこに興味を感じたのか」「どのように考えたのか」「それはなぜか」など、自分の感想、考え、根拠を明確にし、言語化して相手に伝えることが求められます。
このように「英語の背景にある文化」を知ることで、英語的な感覚、価値観を学び、表現力を高めていくのがoutput型の特徴です。
output型で身につく英語表現の例です
例1「ここはどこ?」の英訳
正解は「Where am I ?」(私はどこにいるの)です。
単語と文法を重視するinput型学習では、直訳して「Where is here ?」となりがちです。
例2、風邪を引いた人に「これを食べて。栄養があるから」と伝える英語表現
This is good for your health.
「栄養」という英単語を知らなくても、「これはあなたの健康にとてもいいと思う」という英語的な感覚、価値観で表現できるようになるのがoutput型です。
大切なことは、両者のバランスです
書店で販売されている受験英語の参考書、問題集のほとんどはinput型です。また、予備校、塾の多くはinput型授業です。
これに対し、output型の参考書、問題集や予備校、塾はまだ少なく、知名度も低いです。従ってoutput型の参考書や塾を見つけるのは少し難しいかもしれません。
output型学習は「第二言語取得論」という学問的根拠に基づいて、英語「で」表現する学習を進めるものです。この点が確認できれば、知名度は低くても信用できるテキストや塾である可能性が高いです。
英語学習の二つのタイプについて述べましたが、これは、どちらかが良くて、どちらが悪いというものではありません。自分のタイプ、そして自分が受験する大学への対策に適した方を選び、バランスよく学習を進めることが最も重要なことを忘れないでください。
まとめ
大学受験の英語は、学習法を知ることでもっと伸びる
日本の英語教育は、input型、output型にわかれています
input型に向くのは覚えることが得意な人です
output型に向いているのは文章の読み書きが好きな人です
output型は、英語の文化、感覚、価値観から表現します
大切なことは、両者のバランスです